＊今日は旧暦11月１日、新月です。
メルマガバックナンバーをお届けいたします。
工房に皆様をお迎えする気持ちで書いています。
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2022年11月24日号より「杉本信夫先生」について
こんにちは。
てるる詩の木(うたのき)工房、高良のり子です。
今日は旧暦11月1日、新月です。
今年もあと1か月と少し。
振り返りつつ新しい年へ向けて種まきの準備をするような
心地です。
今回は「杉本信夫先生」です。
作曲家であり、沖縄のわらべうたや神歌を
研究された杉本先生は
私たちにとって師匠であり友人であり
楽しく温かな思い出と共に
たくさんのことを伝えていただきました。
出会った最初の日は、
近くの湧き水のある公園で
先生のお子さんたちと一緒に水遊びをしたりもぐったり。
そんな展開になると思ってもいなかったのですが
びしょぬれになってTシャツもお借りし
甕に入った泡盛をいただきながら
音楽やその他楽しい話をたくさん伺い
先生特製配合の不思議なスパイスの入った
（やしの木でできた小さな臼ですりつぶした香り高い）
体の温まるスープを御馳走になりました。
翌朝すぐにお電話をいただき
「いやー昨日は楽しくて夜眠れなかった！」
（本来こちらからお礼の電話を差し上げるところですが）
気さくで温かなお人柄に感動しました。
それから度々糸満市のご自宅に呼んでいただきました。
ライアー作りをいつも応援して下さり
「人が集まると必ず一緒に奏でたくなる」と仰って
ライアーのための沖縄のわらべうたアンサンブル曲を
いくつも作って下さいました。
アルトライアー開発に苦労した時期があり、
その時お話して下さったのがベートーベンの話です。
「ベートーベンの楽譜には
当時のピアノで出すことのできない音が
いくつかある。
それはベートーベンがピアノが改良され
必ず未来には弾くことができる、と
ピアノの可能性を信じていたから。
そして音楽は作曲家、演奏家、楽器制作者が
お互いに影響しあい高めあって
進歩してきた歴史がある、
今この楽器も正にそうなのですよ。」
また、沖縄の文化やわらべうたについて
「大切なことは、人間がこの世に生を受け、”生きる”という中で、
人々が如何にうたによって”生”を慈しんできたかを知り
それを感じとることである。」
「（ユンタには主はない、うたう人こそが主である）
という市場のおばさん達がうたったユンタ（八重山のうた）に
音楽の本質を教えられた」
等々余りに多くの思い出や、教えていただいたことがあり
書ききれません。
先生がライアー曲集の冒頭に寄せて下さった一文を
一部ご紹介したいと思います。
「沖縄竪琴」誕生を讃える
作曲家 杉本信夫
ギリシャ神話で、ミューズの女神が奏でるのは、
現在の弦楽器の祖型といわれる4弦の小型のハープ、
キタラ（ギター）である。
また、精神を鎮め子弟の徳育として推奨されたのが、
太陽の神アポロンが持つ竪琴であった。
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演奏者と作曲者が音を確かめ合いながら到達したのが、
ドイツ音楽の響きではない、
沖縄の風土、人情に適した「沖縄竪琴」であった。
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沖縄の文化そのものが、一直線ではなくやや曲線なのである。
グシクの城壁も、宮殿や民家の赤瓦屋根の稜線も、
そして沖縄の人の心も曲線のかもしだす優しさにある。
そのような内から湧き出ずる沖縄のうたの響きに、
この「沖縄竪琴」は応えてくれているのだ。
今年11月１日に89歳で亡くなられた
先生のご冥福をお祈りしたいと思います。
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今日も良い日となりますように。
私たちは沖縄県うるま市で、 楽器を制作する工房です。
2002年より、 厳選した沖縄の木を用い、
手加工で竪琴・ライアーをはじめ
心を込めた手作りの楽器をお届けしています。
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