てるる詩の木(うたのき)工房メールマガジンへようこそ!Vol,33

*今日は2023年11月13日、旧暦10月1日、新月です。

 

メルマガバックナンバーをお届けいたします。

 

 工房に皆様をお迎えする気持ちで書いています。

 

 

・・・

 

こんにちは。

てるる詩の木(うたのき)工房、高良のり子です。

 

今日は旧暦9月1日、新月です。

青く澄んだ空に今年も秋の訪れを告げる

サシバ(小型の鷹)が渡ってきました。

「ピーーッ」と通る鳴き声に

「おかえりなさい!」と心の中で応えます。

 

 

今回は「水平と垂直」についてです。

 

 

今回の工房の新作業場は、

私たちも建設に携わりました。

 

工事の安全を祈願してから

一番最初に行ったことは墨打ちです。

 

柱の中心を結ぶ線を

糸を引っ張り全体の形を

地面に記します。

 

柱を立てるときには

「下げ振り」という

糸の下に先がとがった重りがついている道具を

使います。

 

水平の位置を出すのには

「水出しホース」を使います。

細い透明なホースの中に水を入れて、

片方は柱の墨に合わせ、

片方はもう一つの柱に水面に合わせて印をつけていきます。

 

この「水出しホース」には

懐かしい思い出があります。

 

沖縄県立芸術大学で

その当時陶芸を学んでいた私は

卒業制作に焼き締め用の穴窯を作って

作品をそこで焼く、

という今考えても無謀な計画を立てました。

大学には薪で焚く登り窯、電気釜、ガス窯があったのですが、

私が作りたかったのは

素朴な土に火の色が映し出された焼き締めだったので

無いなら穴窯から作ろう!と思ったのです。

 

設計図を描き、キャンパス内のごみ捨て場だった斜面を、

担当教官に許可を出してもらって

(その先生はご自身の研究費を学生の私に譲ってくださいました)

高さ1,2m、全長8mの大きさの穴窯制作が始まりました。

 

ところがすぐに壁にぶち当たります。

窯は土で出来ているため雨が降ったら壊れてしまいます。

小屋を作る必要があるのですが、

陶芸の先生は建築のことまでは詳しくありません。

仕方がなく木工室を訪ねていくことにしました。

 

実は前年度まではとても優しい木工の先生がいたのですが

4月からはパンチパーマをかけてちょっと二日酔いのような顔で

ちょっと怒りっぽい先生に変わっていたのです。

陶芸用こてを作ろうと「要らない木はないですか?」と

聞いたところ、

「要らない木というものはない!」と

といきなり怒られて

もう木工室にはいかないと決めていたのです。

 

が、背に腹は代えられないので

教えを乞うことにして、

その先生と一緒に

穴窯予定地の四隅に棒を立て、

下げ振りで垂直を出し、

先述の方法でホースに水を入れて

印をしました。

そこに水糸を引っ張って四角く囲みました。

 

これが水平で、ここから角度を取って

窯に沿った屋根を作るというのですが

どう見てもいびつに歪んでいるようにしか見えません。

自分の大切な窯なので心配になってきて

「これは水平に見えません。」と言ったところ、

その先生は腹を立てて帰っていきました。

 

と思ったら戻ってきて

「今二人で出した水平と、

あの向こうに見える海の水平線が違うかどうか

自分の目で見てみろ!」いうのです。

当時キャンパスは首里の高台にあり、

海を見下ろして遠く慶良間諸島が見えます。

いつも見ている風景ですが、

あんな丸く見える水平線に、まっすぐな糸が合うわけないじゃん、

と思いながら見ると・・・

ぴったり合います。

思わず「水平線って水平なんですね!」。

あの広い海の水も、コップの水も、ホースの水も、

全部等しく水平だということにちょっと感動。

 

でも次の瞬間、疑問が湧きます。

「じゃあこんな丸いところに垂直の90度は

どうやって出すのですか!?」

「垂直は地球の中心に向かっている」

へえ・・・

建築って紙に書いた線の縦横ではなくて

地球に対しての水平と垂直なんだ!

と府に落ち、鳥肌が立ちました。

 

ちなみに瀬戸内海に架かる鳴門大橋も、

柱がほんの少し扇型に広がっているため

向こう側とこちら側では

基礎部分と先端部分の距離が30cm程

違うのだそうです。

 

 

もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、

その木工の先生は夫です。

私の勘違いだったことを申しますと、

パンチパーマではなく天然パーマで、

現在は柔毛となっており、

怒りっぽい人だと思いましたが正義感が強いだけで、

とてもとても優しく思いやりのある人で御座います。

 

 

*今回もてるる詩の木(うたのき)工房メールマガジンを

 ご購読いただきありがとうございます。

 

 今日も良い日となりますように。

 

 

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編集後記

長かった作業場建設もお陰様で無事

完了検査が終わりました。

まだ少し仕上げが残っていますが

引き続き頑張りたいと思います。

(写真は地墨を打っているところ)

2023,10,15 のり子